主人公は、過去の記憶を失っていた。
過去の記憶が気にならないわけじゃなかった。ボロボロになり路上に倒れていたのだから。
そんな主人公を介抱してくれて、助けてくれた優しい女性。
主人公は次第に恋に落ち、やがて結婚することになる。
今の幸せを手に入れたことで、徐々に過去のことは気にならなくなっていた。
そんな幸福な日々が流れていく中、突如事件は起こる。
妻が突然行方不明となってしまったのだ。


主人公は警察に相談をするが、手がかりの無さに進展せず、業を煮やした主人公は興信所に妻の創作を依頼する。
相談してから2週間が経とうとしていたある日、興信所から連絡が入った。捜査報告書に目を通すと妻があるSMクラブに出入りしていること。そしてある組織、とりわけ人身売買を生業にしている組織の男達と一緒にいることを知る。
この操作報告を元に警察に説明するが裏付けを取るのに時間がかかると言われてしまう。この刻も猶予のない時にである。
いてもたってもいられない主人公は最早、妻を救い出す為に動いた。
興信所からのデータを元に、主人公は組織との接触を図った。
結果主人公は、思っていたよりも困難が少なく組織の一員として潜り込むことになった。


組織の一員としての役割。
それは、見ず知らずの女性に対して調教をおこなうことだった。
妻を救うためとはいえ、見ず知らずの女性を調教していく。それは幸いことであるはずであった。
だが、実際に調教をおこなうと女性を辱め、驕るたびに主人公は興奮していき、心は喜びに打ち震えていった。
仕事をこなしていき組織内で地位を確立していく。そして女性を調教する悦びに浸っていく。
そんな毎日が過ぎたある日、とある女性との出会いをきっかけに自分が元組織の人物だということが分かる。彼女こそが主人公をここに呼び戻した人物だった。
主人公がまだ組織にいたとき、彼はその女性を調教し、そんな中で主従関係以上の「愛」が芽生えていた。
殺伐とした生活を送ってきた彼に与えられた。そう妻との生活にあった穏やかな日々と同じもの。
彼は組織から抜けようとその女性と一緒に逃げようとしたのだが、女性は逃げ切れず、主人公は記憶を失った。
そんな平穏な生活を与えてくれた女性も、主人公と主人公の妻との生活を羨ましく思った彼女は、嫉妬心から主人公を呼び戻してしまったのだ。 失った過去の記憶を知ったとき、それでも妻を取り戻そうとするのか。
それとも、そうしてまで自分を愛してくれた女性を取るのか。