海斗は決心した、訴える事を。その時海斗の頭に一人の 人物が浮かび上がってきた。その人物の名は「蔓木恭美子(つるきくみこ)」。前の会社の顧問弁護士を務めていて、海斗は一度、会社の命令で来訪した際に面識がある。清楚な感じの美人で、事務的でどこか人を寄せ付けない印象だったが、弁護士としての腕は確かであった。他にあての無かった海斗は早速、銀座の外れに位置する事務所に向かった。
恭美子「私なら勝てると思うわ。ただねえ‥。」恭美子の口調が変わった。思えばこの違和感に気づいていれば、後の屈○的な日々は回避出来たかもしれない。しかし、この時の海斗にそんな余裕などある訳が無かった。海斗「本当ですか!?勝てる見込みがあるんですか!?」恭美子「普通の弁護士ならばサジを投げるとこだけど、私には○力なパイプラインがあるしね。これを駆使すれば殺人○でも無罪に出来る自信はあるわ。しかし、条件があるけどねえ。」
海斗「条件?金ですか!?金なら全財産を投げ打ってでも末堂を陥れたい!お願いします!!」恭美子「お金?冗談じゃないわ。こう見えても私の実家はそれなりの資産家なのよ。ましてや私の事務所も儲かっているしね。そんな物は必要経費分で充分だわ。」海斗「そ、それじゃあ、何をすればいいんですか?」希望から一転して不安に駆られる海斗が尋ねる。
恭美子「簡単な事よ。これから裁判が始まる一ヶ月間、私の○○となるの。その間、良い子にしていたらこの裁判には勝ってあげる。でも、すこしでも私の意向に逆らうようならその時点で裁判は放棄。要は良い子にしてればいいのよ、簡単でしょ?」海斗には話の内容がよく理解出来なかった。○○?いったいなんの事だというのだ。IT革命と呼ばれたのも昔となった今や、○○などという、時代錯誤の言葉の意味が海斗には理解出来なかったのだ。海斗「(○○?つまりは召使いの事か?運転手や雑用業務等のパシリ的な事を言いたいんだな。そんな事で済むんならいくらでもやってやる。)」
恭美子「あ、そう。やるのね。それじゃあ引き受けてあげるわ。今日のところはこれで帰っていいわ。今週中にこちらから連絡するのでそれまでは自宅で待機していてちょうだい。」こうして、裁判に打ち勝つ為の条件として、海斗は恭美子の○○となるのであった。しかし、この時点では「○○」の本当の意味を海斗は知る由もなかったのである。