全身に降り付ける激しい雨と頬に当たる冷たい石畳の感触に、少年は目を覚ました。
朦朧とした意識が現状を何とか認識しようとする。豪雨と雷鳴。いくつもの怒号と足音。
金属を打ち鳴らす音が響き、へたり込んだままの彼の目の前に、甲冑を着込んだ男が倒れる。だが、男を斬った敵兵もまた、どこからか飛来した矢によって絶命する。
どうやらここは、どこかの城の敷地内、そして今は信じ難いことだが戦争中のようだ。
法螺貝の音が鳴り響き、勢力の片方が撤退していく。
呆然とする少年の前に現われたのは、城主である秋津 義弘 (あきつ よしひろ)とその娘である瑠璃姫。
ふたりに保護された少年は城内に招かれ、大広間に残った家臣も揃った所で自分の立場を説明される。
ここは常葉国 (ときわこく)。
この大陸・時鷺の国 (ときのくに)最南端にある辺境の国であるという。
戦っていた相手は時鷺の国の大半を手中に収めつつある穂原国 (ほのはらのくに)。彼らの狙いは秋津国に伝わる神器 『トキガネ』という宝石である。
瑠璃姫が持っている宝石片もトキガネの欠片であり、それは全部で三つ存在する。
ひとつは穂原国の王・大道 宗雲 (だいどう そううん)が所有し、もうひとつは承徳 (じょうとく)という国にあったが、穂原国の侵略に遭い、その戦火の中で行方不明になってしまったという。
大道 宗雲の目的はトキガネをひとつにまとめ、国を統一した証にすることにあるらしい。
現在、常葉国は城ともうひとつの砦を残し、ほぼ穂原国の勢力下に敷かれている。
国の主である秋津義弘直々に刀を振るって戦わなければならない現状。そしてつい先刻まで、本陣壊滅の危機にあった。
助かったのは瑠璃姫が封印を解いたトキガネ本来の力の片鱗によるモノ。
このトキガネはただの飾りではなく、国の危機に陥った際にその国を救う力があると言い伝えられている。
そして瑠璃姫が使用した結果、突然の大豪雨という天変地異が発生し――少年が現われた。
ならば、彼が国を救う人物ということになるが……。
城主親娘や家臣たちから不安と期待の入り交じった視線を受けるが、少年はここに来てからずっと悩んでいた内心を打ち明ける。
「……分からない。何も思い出せないんだ。自分の名前――天城 隼人 (あまぎ はやと)って名前以外、何が何だかサッパリなんだ」
かくして謎に包まれた少年・天城 隼人の戦いの物語が今始まる。
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天城 隼人 (あまぎ はやと) CV:古河徹人
- 本編の主人公。自分の名前以外、過去の記憶がない。
常葉国の神器 『トキガネ』の力を瑠璃姫が解いたことにより、異界から召喚され、気がつくと戦場で倒れていた。
秋津国の危機を救うため、彼自身戦うことになる。
特技は剣術。流派は本人が記憶喪失のため不明だが、かなりの腕がある模様。
トキガネを媒介にして 『天螺眼 (てんらがん)』と呼ばれる、近い未来を見る力を発揮することができる。
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秋津 瑠璃 (あきつ るり) CV:草柳順子
- 隼人が飛ばされた戦国時代の常葉国当主・秋津義弘の娘。いわゆるお姫様。
常葉国に伝わる神器 『トキガネ』の所有者であり、隼人をこの地に呼び寄せた張本人。
隼人が記憶を失っていることもあり、その責任を○く感じている。
巫女の資質があるのか、トキガネを介して治癒の力を扱うことができる。
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伊勢谷 桔梗 (いせや ききょう) CV:香澄りょう
- 秋津家に仕える軍師。
性格は生真面目な優等生。風紀にもとてもうるさい。
父親は 『水瀬流』という弓術の継承者。稀代の弓術の名手として有名だったが、桔梗が幼い頃に秋津義弘を守るため命を落とした。
桔梗もまた 『水瀬流』の使い手であり、その腕はかなり優秀。
幼なじみでもある瑠璃を過保護なまでに慕っており、父のように命をかけて秋津家を守ろうと思っている。
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花鈴 (かりん) CV:彩世ゆう
- 穂原国支配下にあった、とある城下の遊郭で隼人が知り合う花魁 (おいらん)。
いつも長い煙管を持ち歩いている。
花魁の最高位である 『太夫』で、権力者の知り合いも多い。
性格は気さくで頼れる姉御肌。同時に得体の知れない一面も持ち合わせている。
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ユイ CV:桜川未央
- 穂原国当主・大道宗雲の部下。
喜怒哀楽を顔に表さず、淡々と宗雲の命令だけに従う。
幾度となく隼人たちの前に現れては、その命を脅かす存在となる。
隼人となにか深い因縁で結ばれており、彼女と刃を交えるたびに彼の記憶が刺激され、フラッシュバックが発生する。
それはユイも同じらしく、隼人の前でだけは時折、感情を露わにする。
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高山 日影 (たかやま ひかげ)
- 大道 宗雲の部下。
一見普通の女性だが裏の性格は計算高く、戦いに手段は選ばない。
宗雲に心から心○し、彼の理想郷建設のため、その手を血で汚すこともいとわない。
宗雲以外だれも信用していないが、決して顔にはそのことを出さない。
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深草 源十郎 (ふかくさ げんじゅうろう)
- 大道宗雲の部下。剣豪。
とにかく大雑把で豪快な性格。常に○い奴を求めている。
一騎打ちが大好き。
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秋津 義弘 (あきつ よしひろ)
- 隼人がいる秋津国の城主。瑠璃の父親。
良政を行っており民からの信頼も厚く、温厚な人柄で知られている。
瑠璃の母親である妻は、瑠璃が幼い頃に病気で死去。
始天流剣術の使い手であり、大道 宗雲とはかつての同門の間柄。
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詠姫 (よみひめ)
- 時鷺の国中央部にある星杜神社に住む巫女で 『星杜の巫女』と呼ばれている。
性格は物静かで、常に冷静。
天文学を習得しており、星の動きによって人々に予言を与えたりしている。
隼人たちの来訪も予言していた。
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袴田 殿真 (はかまだ とのま)
- 穂原国の武将。
大道宗雲の弟であり、本州への接点とされる重要な城を任されている。
頭脳明晰で無能ではないが、自己保身を第一に考えており、計算外のことには極端に弱い。
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長谷部 在香 (はせべ ありか)
- 穂原国軍師。
大道 宗雲の側近であり、本業は巫女。
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大道宗雲 (だいどう そううん)
- 穂原国の城主。
三つに分かれた 『トキガネ』をひとつにし、時鷺の国を統一することが目的。
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