何かが、おかしい―――。
本土から船で2時間の離れ小島。
母子家庭に育ちながら母を亡くした結城七海は、伯父である水城晴彦に引き取られ、初めてその島へとやってきた。
晴彦の家は島では “本家” と呼ばれており、宮司を務める晴彦は、島民の敬意を一身に集めていた。その晴彦の家に引き取られた七海もまた “お嬢様” として島民たちに受け入れられていった……はずだった。
しかし近頃、妙な視線を感じることがある。
まとわりつくような、粘つくような視線が肌を撫でていく。何者かが自分を影から見張り、笑っているような、そんな気配に背筋が寒くなる。
考えすぎだと、都会から越してきた自分が、まだ島に馴染めていないせいだと、七海は自分にそう言い聞かせた。
しかし、それは間違いだった。
ある夜、晴彦に呼び出された七海は、祭りに使うからと巫女装束を着させられた。信頼を寄せる伯父の言葉に、素直に従う七海。だが次の瞬間、七海は晴彦に組み伏せられていた。
恐怖よりも驚愕に、七海は悲鳴を上げる。その七海をいつの間にか、島民たちが取り囲んでいた。
助けを求めようとした時、七海は気が付いた。自分を見つめる、島民たちのその視線。ここしばらく自分を悩ませていた視線の主が、島のどこにでもいる島民たちだったということに。
そうして七海は悲鳴も懇願も虚しく、島民たちに観られる中で晴彦に処女を奪われるのだった。
だがそれは、悪夢のほんの始まりに過ぎなかった。
「久方ぶりの本祭だ、みな、存分にその役目を果たすが良い」
破瓜の痛みに疼く身体を抱え、呆然としていた七海の耳を、笑いを含んだ晴彦の声が打つ。
ぼんやりと顔を上げた七海の瞳が、一瞬で恐怖に見開かれる。その瞳には、今まで見ているだけだった島民たちが、その輪を縮めてくる様が映っていた。
誰もがその顔に、下卑た笑みを浮かべて七海に手を伸ばしてくる……。
「い、いや……伯父様、もう許して……みんなを、止めてください……お、お願い……っ!」
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【神の贄に定められた少女】 結城 七海 (ゆうき ななみ) CV:御苑生メイ
- 島を支配する水城家の分家筋・結城家の少女。
母の美沙都は前回の秘祭の巫女を務めている。しかし祭りの後に出奔し、一人で密かに七海を産んでいる。
母が島とは一切の関係を断っていたため、祭りについてどころか島についての知識もまったくない。
その母が急な病で亡くなり途方に暮れていたところを、晴彦から救いの手を差し伸べられる。
慎み深く、淑やかな性格で、島に引っ越して間もないながらも、島民に慕われる存在となっている。
「ほら、靖明。貴方もちゃんとご挨拶して」
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【学園に君臨する女王様】 水城 七瀬 (みずき ななせ) CV:桃井いちご
- 島を支配する本家・水城家の少女。
本家の一人娘として島(学校)に君臨している。水城家の人間である七瀬の言葉には島の大人も逆らえない。
母である美紗緒に楯突くこともしばしばだが、伯父である晴彦には唯一、頭が上がらない。
その生まれ育ちのせいか、我が○く、その言動は高慢と見られることがしばしばである。
嗜虐的な傾向があり、冗談めかして他人を弄ぶこともあるが、それにもやはり誰も逆らえない。
「伯父様……七瀬、今日は伯父様とご一緒したいの。よろしいでしょう? ね?」
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【憂いを背負う当主の妻】 水城 美沙緒 (みずき みさお) CV:氷室百合
- 本家・水城家当主である清彦の妻。七瀬の母であり、七海たちの亡母・美沙都の姉。
娘の七瀬と違って表に立って出ることはなく、あくまで裏方として陰から水城家を支え守っている。
どこか陰のある眼差しが、島の男たちから絶大な支持を集めている。
誰に対しても優しく接するため、老若男女を問わず島民からの信望は厚い。
「どうか、貴女の家だと思って楽にしてちょうだいね」
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【主人公】 水城 晴彦 (みずき はるひこ)
- “本家” と呼ばれる、島を牛耳る水城家の当主代行。
分家である結城家の出であるが、誰よりも濃く本家の証(赤い瞳)を現わしていたため、○○の頃に養子として本家に引き取られている。
病に伏せることの多い本家当主・清彦の代行として、先の大祭からこちら、島を完全に取り仕切っている。
支配者に相応しい自信と能力を備えた人物であるが、それ故か、弱者を思う心に乏しい面がある。
「ふん、聞くだけは聞いてやる。言ってみろ」
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【邪心に憑かれた先代当主】 水城 龍彦 (みずき たつひこ)
- 水城家先代当主。
今は正気を失い座敷牢に○○されているが、そうなるまでは島の支配者として長く君臨していた。
当時は精力絶倫で、当主の座を笠に、欲しいままに島の女を抱きまくっていた。
気が触れてなお嗜虐嗜好が○まり、女を求めて喚いている。
「ずいぶんと偉そうな口を利けるようになったな、ええ?」
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【輝けるオタクの星】 鬼鳳院 隼人 (きほういん はやと)
- 島にある雑貨店の店主。
本人の趣味により、大人の玩具からオタグッズまで取り扱っている。そのため一部島民からは毛嫌いされ、軽蔑されている。
本人の言動も、耳障り、目障りなほどに “オタク” 的である。
手先が器用で、島に伝わるガラス細工の職人でもある。
「おうふwww 七瀬たんが熱い眼差しで拙者をみつめているであります!wwww…」
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【気は優しくて力持ち】 本多 剛志 (ほんだ たけし)
- 島の消防団団長。普段は農業にいそしんでいる。
いざという時のために、常日頃から肉体を鍛えまくっており、格闘技にも精通している。
他人のために働くのが好きな好青年。
「う〜〜ん、困ったなぁ。キミはそう言うけど、ボクはやっぱり晴彦さんが正しいと思うよ!」
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【堕ちた天才】 平塚 竜一郎 (ひらつか りゅういちろう)
- 島の医師。
幼少時は神童と謳われたが、長じてただの人以下となった。
ただ○○の頃に培われたプライドの高さは今現在も他の追随を許さないほど。
正式に医師の資格を持っているが、金で買ったというもっぱらの噂。実際、腕前は二流に届いていない。
「晴彦君のことなら安心したまえ。僕が診ている限り、心配など無用というものだ」
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【病弱な当主】 水城 清彦 (みずき きよひこ)
- 水城家の現当主。水城家の正統嫡男であるが、その血は晴彦に比べるとかなり薄くしか出ていない。
また病気がちで寝込むことが多く、島のことは異母弟の晴彦に任せっきりになっている。
島に伝わる秘祭を、過去の悪習としてなんとか終わりにしたいと思っている。
「どうして分かってくれないんだ、晴彦。キミにはそれだけの力があるというのに……」
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【姉思いの無垢な少年】 結城 靖明 (ゆうき やすあき)
- 七海の実の弟。
母である美沙都は島を出奔して数年後に靖明を産んでいる。
父親が誰であるかは靖明自身はもちろん、姉である七海も知らされていない。
病気がちであり、喘息の気もある。それでも外で遊ぶのが好きで、暗くなるまで遊んでいては姉の七海に叱られたりしている。
「七瀬おねえちゃん……僕のこと、嫌いなのかなぁ……」
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