ごく普通のサラリーマン家庭・町田家。
夫の剛、息子の聡、そして妻であり母である遥の3人は、何事もなく日々を暮らしていた。
そんな家族の元に、一人の異物とも言える存在が現れる。 それは剛の弟夫婦の息子・雅人だった。
両親を事故で一度に亡くした雅人は、一番近い親族である剛に引き取られて町田家に住むことになったのである。
雅人にはほとんど会ったことのなかった遥と聡。
聡と同い年だった雅人は聡と同じ学園に転校することになるが、ルックスも良く成績も優秀で年不相応に大人びた雅人に、おとなしく際立ったところのない聡は気後れを感じてしまう。
仕事が忙しい剛に代わり、遥を支えるようになる雅人。
聡の思いをよそに、剛は雅人を信頼してより留守にしがちになり、遥も頼もしい雅人になにかと頼るようになっていく。
そんな日々を送る家族に、ある日訪れる転機。
剛が出張で、そして聡が部活で外泊することになったその日の夜、遥に想いを打ち明ける雅人。
雅人は遥のことを、一人の女性として意識するようになっていたのだった。
その言葉に驚く遥だが、大人びているとばかり思っていた雅人から初めて聞かされる弱音とその切ない想いに、ついには身体を許してしまう。
ふたり以外誰も知るはずがなかったその過ち。
一度きりになるはずだったその行為を、密かに見ている者がいたことに、遥は気付いていなかった。
その関係が、妻として、母として、そして女としての遥を変えていってしまうことにも……。