ライアーソフト最新作は、現代的ながらも幻想と神秘に満ちた生き物や超常現象が起こる『非日常』が隣り合わせとなったスチームパンク世界を舞台に繰り広げられるファンタジックADV。
突如、古代の幻想でしかなかったはずの《ふるきもの》たちが復活した超大国の都市で、世界と向き合う《数式医》となった主人公が、人々との出会いと別れを繰り返しながら、変ってしまった世界と変わらない美しいものが何であるかを求め、生きていく…。
●「クリックシステム」モードとは?
物語の一章ごとに挿入される「クリックシステム」モード。画面に表示された「人の影」や「背景」をクリックすると、都市の情報が第3者視点で入ったり、対応するキャラクターの「心の声」…キャラクター視点のテキストが表示される。クリックは進行フラグを立たせるための役割を持っており、ストーリー物語を進行させる上でかなり重要なポイントとなる。
プレイヤーがシナリオを読めば読むほど、キャラクターと世界を理解すれば理解するほど、物語の未来は切り開かれ、完成に近づいていくのだ!
▲「クリックシステム」モード起動!
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▲キャラクターor背景をクリックすると…
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▲キャラごとに表示される「心の声」が物語の重要なポイントに。 |
“──誰かが夢見た世界。
──いつか夢見た世界。
──けれど、こんなにも猥雑で、残酷で、憂いに満ちて。
──眩しいほどに輝いて。”
異形都市インガノック。積層型巨大構造体から成る完全環境都市(アーコロジー)であったそこは、10年前に発生した《復活》ですべてが歪んでしまった。人も、木々も、機関(エンジン)の排煙による灰色に満ちた大空さえも。ひとつだけであったはずの太陽は、ふたつになって。
恐るべき幻想生物たちが姿を顕し、都市を豊かたらしめる蒸気機械文明さえもが、歪み、時に異形と化して人々を襲った。かろうじて変異を免れたのは、貴族の住まう都市上層のみ。インガノックのごく僅か。
100万を超すと言われる人口が密集する都市下層は、今日も、地上に存在しえないはずの異形と奇病、異常なまでに発達した○○的な機関技術が満ちあふれて。歪んだ空から発生した無限の霧は、都市を完全に孤立させた。
孤立都市にして、異形都市。インガノック。
巡回医師ギーは、今日も都市を歩く。
弱者絶滅を謳う上層貴族の定めた“死の都市法”を無視し、歩き続け、下層の人々を診療し続ける。昨日も、今日も、明日も。
両手からこぼれ落ちていく無数の命を見つめて。
10年前に失ったものが、一体何であるのかを確かめるように、歩き続けた。
──そして、出会う。
──ふたりに。
ひとりは、少女。インガノックの混沌をまるで知らない、黒の少女。
その名はキーア。人が忘れた“笑顔”を絶やさぬ娘。
もうひとりは、影。すべての幻想を失った都市において唯一語られる、“おとぎ話”の登場人物。すなわち、万色に変化する鋼の人影。
その名は《奇械》。
人ならざる鋼の影。
異形を砕く刃の手。
人に“美しいもの”をもたらす、インガノックただひとつの希望──
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【救いを求め、手を差し伸べる男】 ギー
- 都市下層で巡回医師を生業とする《数式医(クラッキング・ドク)》。細身の男。常に憂いを帯びた表情を浮かべている。
元は上層の国立機関大学で学ぶ、年若き医学生であった。両親を早くに失い、準3級の機関技師として工場で働きながら学費を貯め、猛勉○の果てに上層の大学へと入学を果たし、1級医師を目指して勉学に励んでいた。しかし、都市インガノック全層に顕れた《復活》による都市と現実の崩壊により、それまでに学んだ“設備溢れる医療施設”における“純然たる人間のための”医療技術と知識のほとんどは意味と意義を失い、彼は絶望の底に落ちた。
暗黒の日々から10年が過ぎて──彼は新しい知識と力を得た。すなわち現象数式を操る《数式医》の知識と、己を守る盾となる《奇械》の力である。
もはや人を救うことに意味を持たない《異形都市》と化したインガノックで、それでも彼は、今日も、誰かへと手を差し伸べ続ける。例えそれが、明日には死する相手であっても。
《奇械》ポルシオン(初期型)
目立つ特徴は、大きく見開かれた形の右目。数秘機関を全身に埋め込んだ人間にも似た、全長2.5mほどの人型鋼鉄。胸部に組み込まれた《門》からさまざまなものを呼び寄せ、力とする。
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【人を見つめ、佇み続ける少女】 キーア CV:かわしまりの
- ギーのすぐ近くに寄り添い、彼の生きる姿を見つめ続ける少女。
その瞳は《美しきもの》さえ見通す。出自は不明。上層の出か下層の出かもわからないが、下層には慣れていない風。
ギーが絶望と共に《異形都市》をさすらった10年の果てに出会い、巡回医師としての彼と行動を共にすることになる。
ほとんど笑うことがなく、静かな印象だが、表情自体は(印象を裏切って)相当豊か。
《奇械》の力で自分の命を助けたギーに対して、静かに、無償の好意を捧げ続ける。
混沌たる都市下層にあって、誰へも笑顔を向けることができる希有な人間である。
不思議なことに、他者から敵意を向けられることが殆どない。けれど、それは理性を備えた人間に限った話であって、狂気に飲まれた人間やクリッターはその限りではない。時折、ギーの目には見えない何かと会話をする。それは妖精でもなく幻獣でもなく、人でもない相手のようだが──
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【空を見上げる猫、溜息の女】 アティ CV:野月まひる
- 明るさに満ちた、蓮っ葉で皮肉屋な娘。
肉体はしなやかで俊敏に、爪は鋭く、精神はたくましく。でも、本当は──
かつては上層に暮らす商家の娘だったが、《復活》から2年後、幻想の異人種《猫虎》の特徴が《忌罹病》として体に発現してしまい、上層の正当市民権を失う。かつての名前はアティ・クストスだったが、クストス家は既に存在しない。
頭の上には猫の耳があり、人間とは異なる黄金瞳(猫に似た黄金色の瞳。人間のものよりもやや大きい)を右目に持つ。
全体的に“黒猫”の身体的特徴を持つ。生き抜くために、肉体に幾らかの数秘機関を埋め込み、荒事の場に身を置いている。
世界への適応と、生への執着。それが彼女をあらわす言葉である。
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【救済を理解し、死を望む男】 ケルカン
- 灰色の服に身を包んだ殺し屋。上層・下層で特1級の危険人物と指定されている。
世界と生の否定と、死の肯定の権化。死こそがインガノックにおける救いであると嘯き、手にした刃と現象数式で人を殺す。
傷ついた者、病に罹った者──すなわち“弱い者”は死ぬ。何もかもを奪われる。それは都市の人々の多くが信じざるを得ない摂理であり、大公爵が定めた都市法でもある。
“2級以上の生活障害を持った者は処分する”と都市法は言う。彼は初め、上層から下層へと降りた処刑執行官であった。
しかし、今や彼の刃は下層民も上層貴族も区別なく、彼自身の判断によってのみ振るわれる。法を離れ、彼は死そのものと化したのだ。死ぬはずであった人々と深く関わるギーに対しては、明確な敵意を向ける。
弱者は死ぬべき。それは、異形と化した都市で彼が得たひとつの“回答”であるのだ。
《奇械》クセルクセス
死神的な印象を与える、死をもたらす《奇械》。全長3mの鋼鉄鎧。ぽっかりと空いた、髑髏のような眼窩が特徴。人間に似た姿だが、両腕が長く、腰から下は背骨が伸びた尾のようなものしかない。
普段はどこにも存在していないが、ギーの《奇械》とは異なり、ケルカンの意思によって自由に呼び出すことが可能。
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【人であり続ける、鋼鉄の娘】 ルアハ CV:青山ゆかり
- 糸を失った主なき“自動人形”と人々から呼ばれる、鋼鉄の娘。不完全なる機関人間。
1日のうち多くの時間を、彼女は“停止”して過ごす。まばたきもせず。自我と感情がごくごく薄い。
けれど、内に閉じ籠もり、喪失したものを求める、誰よりも“人間らしい”娘である。
他の人間たちにはほぼ無反応、もしくは機械的な返答を返すのみだが、キーアとは言葉を交わさずとも意思疎通ができるらしく、やがて、よく言うことを聞き、大人しくなつくようになる。
キーアが好きな相手のことはルアハも好きになり、嫌いな相手のことは、敵と認識するようにまで“成長”していくが──
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【人々を見守る、旅の老爺】 イル
- 都市の“外”を知っていると思しき永遠の旅人。達観した傍観者。
大きさ1mと少し(最大で1m50程度まで)の生物《観人(エゼク)》のオス。ふさふさした毛に覆われた生物で、孤立都市インガノックに発生した異常自然から姿を見せた生き物の中ではとても人間には友好的。
深い思慮と知性の輝きを瞳に持つ。ぼろぼろの旅装に身を包んでおり、留まらず、常にどこかを歩いている。
とても逞しいという噂があるが、実態は不明。元は都市の“外”の住人で、インガノックの《復活》よりも前から世界のあらゆる場所を旅を続けている。都市インガノックが現在の姿となった理由のすべてを知っているとも、知っているがその仕組みは理解できていないとも噂されている。彼は、その旅の中で、さまざまな人々をただ見守り続ける。
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【《都市》の狂気に嗤う、御遣いの少年】 レムル・レムル CV:理多
- 原初にして最○の《奇械》所有者。最も《美しいもの》に近く、そして同時に限りなく遠くに在る少年。
過去再生者にして現在増殖者。正式名称はアポンダンス・レムル=レムル。その精神は恐怖と狂気と歓喜と至福に満ちている。
大公爵アステアが3年をかけて建造した都市上層の特1級封鎖建築の最奥に閉じこめられており、生命活動以外のあらゆる活動を封じられている。一部の上層貴族からは、彼こそが都市インガノックの《復活》の理由そのものであると噂されている。
《復活》の日からの10年間、彼の外見はまったく変わっていない。
異常なまでにキーアの存在に固執し、ギーを激しく憎悪するが──
《奇械》ラウダトレス
後期型の《奇械》に分類される鋼鉄鎧。破滅的。原初にして最○の《奇械》。
全長3m。2対4本の腕を持ち、奇妙な模様のマントに身を包む。顔は兜に覆われており、無貌。目はない。
攻撃能力は有していない。対象の過去を無限再生させ、対象の“耐えきれない現在”を無限増殖させる力──白色をした《善なる我が左手》によって、立ち塞がるものの肉体と精神を変容させる。この《奇械》の左手に耐えうる知性生物は存在しない。
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【双子のおちびさんたち】 アグネス&フランシスカ CV:松永雪希&CV:歌織
- 下層で情報屋稼業をして暮らす、おちびさんの双子。おでこさんズ。
ふたりともヤギ人こと《氈羊》であり、手足は獣毛に覆われた蹄の四肢になっている。年齢的にはミースと同程度だが、人生経験はよほど彼女らのほうが上。百戦錬磨の情報屋であり、その世慣れた感覚はギーも舌を巻くほど。ただ、おしゃまな口調が与える生意気な雰囲気が、情報屋としての足を引っ張っているともいう。
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【心の闇に潜む、仮面の道化師】 道化師グリム=グリム
- ギーの“視界”にたびたび現れる、仮面の道化師の幻。
時折、現実の視界や夢の視界の片隅に現れては、ギーに謎かけの言葉を放つ。
意思を持つ残酷な世界そのものの具現たる幻想生物の一種“クラウン”、その亜種に違いないとギーは判断している。この道化師は常に“待っている”ことを伝えてくる。
都市インガノックでギーが己の“かたち”を変えて、やがて《美しきもの》を手にすることを、何よりも待ち焦がれているのだと。言葉なき言葉で、道化師は常にギーへと囁き続けるのである。
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【《都市》を支配する、妄念の王】 大公爵アステア
- 都市インガノックの王にして、恐怖と狂気の大公爵。都市を変容させた《復活》の真実を知る唯一の人物と言われるが、真相は不明。
10年前の《復活》がもたらす絶望と混乱に満たされた人々を導き、数秘機関と現象数式を編み出し、幻想生物との“ある種の共存”によって都市を存続させた大貴族。《復活》から3年間は救民の英雄として称えられてきたが、突然、豊かで《復活》の影響が少ない上層と、混沌たる下層とを《上層階段》によって隔絶させ、上層貴族による下層の抑圧支配という構図を作り出した。
更には“2級以上の生活障害を持った者は処分する”という死の都市法をも制定。
大公爵の急変の理由を知る者は、どこにも存在しない。
時折、重装備の機関人間である上層兵へと命令を下し、下層にて奇怪で残酷な人体実験を行わせていると噂され、下層の人々からは《狂気公》として恐れられている。
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