遙か昔、この空には竜が存在した。
竜は雪を司る姫。
ある日、地の男に恋をする。
だが、それは叶わぬ恋だった。
竜は地に雪を降らす。
何もかも真っ白に覆い尽くしていく。
地にいる男への想いを断ち切るように。
地の男は大きな剣を持っていた。
男は、竜を崇め、祀る。
剣は、今生を断ち切る霊剣。
崇める竜に想いを馳せながら天を仰ぐ。
ついに竜は、禁を破り地に舞い降りた。
男への想いを断ち切れずに。
二人は恋に落ち、やがて結ばれ、小さな生命を宿す。
だが、禁を破ったその恋は悲恋に終わる。
竜は当然の罰を受け、親子三人は引き裂かれてしまう。
様々な末路の憶測だけを残して、この伝説は幕を閉じた。
物語はそれから千年後、同じ土地の現代から始まる。