神に見捨てられた街。呪われた奈落『失楽園(パラダイス・ロスト)』。
法はなく、道もない。慈悲も愛も存在しない弱肉強食の世界と摂理。
かつては栄華を誇った大都市でありながら、旧文明の壊滅と共に世界から孤立した失楽園(パラダイス・ロスト)――“隔離街”。そこには大戦の残滓ともいううべき瘴気が満ち、肉体を機械化したサイボーグや遺伝子操作のフリークスなど、汚染された大地を狂人魔人が跋扈する。言うなれば修羅の箱庭――此処は、世界で最も地獄が近い魔都である。
暴悪の都、隔離街において、なお“デスサイズ”の異名で畏れられる主人公――ライル。それまで自身と街の在り方に一片の疑問すら持っていなかった彼はしかし、街の最下層であるM区画で出逢った謎の少女――リルと接するうちに徐々にだが変わっていく。
精神に潜み、肉体の所有権を懸けて長らく争ってきた悪魔との鬩ぎ合い――
突如その身に顕現した、総てを腐らせるメギドの炎――
そして、“天使”という存在に対する懐旧と殺意の念――
総ては、罪(シン)の導くままに――。
はたして魔都の空に開くのは、天国の門か地獄の釜か。失われた楽園には、今日も贖罪の黒い雨が降り続ける・・・・。
世界より独立して存在する完全隔離都市『ソドム』。
舞台となるのは、太古に滅びた旧文明の盟主国家、“ソドム”と呼ばれる街の成れの果て。
以来数千年、“ゲート”と呼ばれる障壁によって外界から隔絶されたこの街には、大戦の残滓とも言うべき毒気、妖気、瘴気が満ち、それが原因となって非常に特異な発展を遂げている。この通称“隔離街”は、外側からS(セーフティ)・D(デンジャー)・M(マーダー)の三地区、全十三階層から成る積層型都市であり、うち、最下層のM区画には致死レベルの毒気が充満しているせいで生物が存在できる世界ではない。ただ、この区画からは過去の遺産――オーパーツが多数発掘されるため、専用の防護スーツを着込んで発掘作業に従事する人間が大勢いる。
警察などの法的機関が一切存在せず、成人の八割が殺人を経験しているとさえ言われる魔都、隔離街――。
この街に存在する唯一の法は“弱肉強食”の四文字であり、住人達もそれに違和感や疑問を持っていないため、一般に言うモラルや常識は通用しない。街の支配者である“蛇”と呼ばれる組織が、近年になってM区画の遺産からゲートの制御装置を復元することに成功するが、未だ大半の住人は生まれついての虜囚であり獄徒のままである。毒々しく、禍々しく、紫色に濁った空と、降り注ぐ黒い雨が何よりの証。この街に――神などいない。
|
リル(ヒロイン)
- 誰も到達したことがないと言われるM区画の最下層にほど近い場所で眠っていた謎の少女。
名前以外のことはよく覚えておらず、目覚めてからは卵から孵った雛のノリでライルのそばにまとわりつく。なぜか彼を“ロト”と呼ぶが、その理由は本人にも分かっていない。どうも好きな言葉らしい。性格は天真爛漫で屈託がないが、ライルをして常識知らずと言わしめるほど抜けており、正邪の価値観に乏しい。ゆえに、ときたま非常に醒めた発言をすることも。背部には身長とほぼ同じ大きさの翼を持ち、空を飛ぶことも可能。隔離街の外側にある世界は空が青いという話を聞き、その空を飛んでみたいと願っている。
身長:161cm 体重:46kg B:81 W:56 H:83
一人称 : わたし
|
|
|
ソフィア・クライスト
- ノウが愛してやまない少女。血縁ではないが、孤児という境遇から共に生きてきたノウに対して兄妹以上の愛情を感じている。
非常に過保護な兄のために半ば軟禁状態にあり、自分が住んでいる街がどれだけ危険な世界かをよく認識していない。
隔離街にあって、おそらく唯一と言えるほど無垢で汚れを知らない少女だが、その身体には重大な秘密が隠されている。
|
|
|
アスト
- ツォアルの巨大組織――“イルミナティ”に属する謎の少女。“中傷者”(クリミナトレス)という名で呼ばれることもあるが、そのことを彼女がどう認識しているかは不明。可憐な外見とは裏腹に徹底した無表情無感動で、その在り方は人形然としたまま揺らがない。
その正体は数千年前に旧文明を壊滅させた天使達の生き残り。なかでも反天使と呼ばれた三体の一角であり、中傷者の他に“魔鏡”という称号も持つ。
超高度な○○装置であると共に、他者の記憶、人格、および能力等を記録する特性を持ち、その身体には数万を超える天使達のデータを収めている。当然、これらのデータを選択し、起動させることも可能。
|
|
|
エニス・カーディナル
- D区画四層を独立エリアとして束ねる姉御肌で巨乳。
ライルとは十年来の馴染みであり、彼に対して正面から向き合える数少ない人物。
ライルの異常(ナハト、歳をとらない等)をすべて知った上で許容しており、リルが現われるまでは最も近い間柄だっただけにその心境は少し複雑。
|
|
|
カーマイン・オニキス
- エニスと同じくライルとは古い馴染み。発掘された遺産をレストアする復元屋で、機械の義手になっている左腕はナハトにやられたもの。
ライルを女にしたような性格をしており、本人曰く両刀遣いだが、“男女”呼ばわりされるとキレる。キレたときは女性言葉になる。
|
|
|
ナハト
- ライルの精神に潜み、常に肉体の主導権を狙っている正体不明の魔人。
一般に言う多重人格とは何処か違っており、その証拠としてライルのことを“宿主”と呼ぶ。態度こそ落ち着いているものの、その本質は凶悪かつ残忍であり、非常に好戦的。ナハト表出の際、傍にいた者は老若男女の区別なく死の運命を突き付けられ、逃げることはできない。夢の中で毎夜ライルと殺し合いを展開するが、その決着は未だつかず、故に彼から離れることもない。ナハトはリルを“天使”と呼び、敵だと言って殺そうとしている。容姿はライルと瓜二つだが、ナハトの眼は赤い。
|
|
|
ライル(主人公)
- 隔離街の中で、生物の生存可能域としては最下層に位置するD4エリアに住む男。
街の住人には珍しく、機械化手術も○○強化も遺伝子操作も受けていない完全生身の人間だが、その身体能力は前述した異形達を遙かに圧倒している。精神に“ナハト”という凶暴な人格を飼っており、これが表出した際の非情さから“デスサイズ”の異名で畏れられ、彼を知らない者はいないほどの有名人。街にあってただ独り、M区画の毒気を無効化する特異体質の持ち主だが、同区画の深部で眠っていたリルと出逢い、徐々にではあるが自身の在り方に疑問を覚え、変わっていく。
|
|